未成年者が犯罪を犯した場合、逮捕されないのでしょうか。未成年者であれば少年法が適用されることになるのですが、必ず逮捕されないというわけではありません。
そこで本記事では、未成年者でも逮捕されるのか、少年法と逮捕後の流れについて解説します。
未成年者が犯罪をした場合の少年法との関係
未成年者が犯罪をした場合の少年法との関係について確認しましょう。
少年法における少年とは20歳未満
少年法における少年とは20歳未満を指します(少年法第2条)。
2022年4月1日に民法が改正され、民法上の未成年者は18歳未満となりましたが(民法第4条)、少年法における少年の定義は20歳未満のままであることを知っておきましょう。これは民法は取り引きに関する判断能力の点から未成年者の定義をしているのに対して、少年法は非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行い、刑事事件で特別な配慮をするのが目的であり(少年法1条)、両者は異なる目的であるためです。
14歳未満の場合には犯罪に問われず逮捕されない
刑法・少年法によって、14歳未満の場合には犯罪に問われず逮捕されません。
刑法第41条は、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない。」と刑事責任年齢について規定しています。そのため、14歳未満の者は処罰の対象とならず、逮捕も行われません。
ただし、児童相談所に保護される形で身柄拘束をされることはあり、またおおむね12歳以上の場合に、少年事件として審判がおこなわれ、その結果少年院送致がされることがあります。おおむね12歳以上とされているため、11歳の少年でも少年院送致の可能性があります。
14歳以上の場合には犯罪に問われ逮捕されることがある
刑事責任年齢である14歳以上が犯罪をおこなった場合には逮捕されます。
14歳以上となると刑事責任年齢となっているので逮捕される可能性があります。その後は警察・検察から家庭裁判所に送致され、少年事件として審判されるか検察官に逆送されて刑事事件として取り扱われます。少年事件として審判に付される場合には、観護措置(少年法第17条1項)という少年鑑別所での身柄拘束がされます。また、刑事事件として取り扱う場合には逮捕に続く勾留が行われるので、名称が違いますが身柄拘束されることになります。
少年が逮捕された後の流れ
少年が逮捕された後の流れは次のようになります。
観護措置
警察が逮捕をした後、通常の刑事事件では勾留を行います。少年事件として取り扱う場合には観護措置がおこなわれ、逮捕に引き続いて身柄の拘束が行われます。
調査・審判
家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官によって事件の内容や事件の背景・少年の生活環境などについて調査がおこなわれます。調査結果は「社会記録」としてまとめられ、家庭裁判所の裁判官に提出され、裁判官が審判の要否を決めます。
審判がされる場合は不処分・保護処分・知事または児童自立支援施設等送致・検察官送致のいずれかが決定されます。
逆送された場合
逆送された場合には刑事事件となるので、検察官が起訴し刑事裁判がおこなわれます。
未成年者が事件を起こしたときにはどのようなことをするのか
未成年者が逮捕された後には、どのようなことを行わなければならないのでしょうか。
身柄拘束をされないようにする
成年の刑事事件では、身柄拘束をされてしまうと、大学や会社に行けなくなり社会的な不利益が大きくなります。これは少年の刑事事件・少年事件でも同じで、逮捕・観護措置によって学校にいけなくなったり、すでに就職している場合には職場に行けなくなります。そのため、少年の場合も身柄拘束を避けるための対応が必要です。
少年事件の場合には更生のための生活環境の調整を行う
では、逮捕・観護措置とならないようにする、逮捕・観護措置が行われている場合には、身柄解放のためにどのようなことを行うべきなのでしょうか。
成年の刑事事件では、被害者と示談をしたり自首することで反省や被害者の処罰感情を減らすなどが対応として求められます。一方で少年事件の場合は、少年の健全な育成のために性格の矯正及び環境の調整という観点から観護措置・各種処分がされるかが決められます。そのため少年事件の場合身柄拘束をされないために、観護措置・各種処分をしなくても更生が期待できるという生活環境の調整を行うことになります。
弁護士に付添人になってもらう
刑事事件における弁護人に相当する存在として、少年事件では付添人として弁護士が少年の更生のために活動をします。家庭裁判所調査官と連絡を取り合い、少年の健全な心身の成長にどのようなことが必要かを模索します。少年事件で有利な処分を求めたい場合には、弁護士に付添人になってもらうことをおすすめします。
まとめ
本記事では、未成年者でも逮捕されるのか、また逮捕された後の流れについて、少年法や刑法の定めとともにお伝えしました。
未成年者であっても14歳以上であれば逮捕され、少年事件として処分されることになります。観護措置という身柄拘束も行われる不利益を受ける可能性があるため、事件を起こした場合にはなるべく早く弁護士に相談・依頼し、有利な処分を受けられるよう、早めに対応することをおすすめします。