警察から出頭を求められた場合どのように対応すれば良いのでしょうか。犯罪にあたる行為を行ってしまった場合には逮捕される可能性が高いと考えられますし、犯罪にあたる行為を行っていない場合には自分が疑われているのか、それともなにか事件に巻き込まれているのかと心配になるでしょう。
そこで本記事では、警察から呼び出しを受けて取り調べを受ける場合の注意点を解説します。
警察の呼び出しにはどのような可能性があるか
警察から呼び出しを受けたというだけでは、その呼び出しがどのような趣旨かわかりません。警察からの呼び出しには次の可能性があります。
被疑者として疑われている
なんらかの犯罪の被疑者として疑われている可能性があります。
刑事訴訟法第198条は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」と規定しており、被疑者の取り調べをするための出頭を認めています。そのため、警察からの呼び出しを受けた場合は被疑者として疑われている可能性があります。
実際に、比較的軽微な犯罪（痴漢や未成年者との淫行などの条例違反・名誉棄損罪や侮辱罪・暴行事件や傷害事件のうち軽微なもの・交通違反など）の場合には、警察が呼び出しを行うことが多いです。
一方で、殺人・放火・強盗・不同意性交等・特殊詐欺のように凶悪な事件である場合には、逃亡や証拠隠滅を防ぐために、呼び出しを行うよりも、逮捕状を請求した上で強制的に身柄拘束を行うことが多いです。なお、すでに逮捕状が用意されており、逮捕をするために呼び出すこともあります。
参考人として呼び出される
なんらかの犯罪の参考人となっている可能性があります。
刑事訴訟法第223条は「犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。」と規定しており、被疑者以外の者に出頭を求めることができる旨を規定しています。
被害者以外の者については参考人と呼ばれており、何らかの犯罪を目撃した、または被害者となったなどで事件と関係あるために呼び出される場合や、被疑者の家族などで被疑者について事情を聞くために呼び出される場合があります。なお、参考人のうち犯罪の被疑者としての嫌疑が強い者については「重要参考人」として呼び出しを受けることもあります。
呼び出しを受けた場合の対応についての法律の規定
呼び出しを受けた場合、法律ではどのような対応ができると規定しているのでしょうか。
出頭を拒否・出頭後に退去することができる
出頭を拒否・出頭後に退去することができます。
刑事訴訟法第198条に基づく出頭はあくまで任意での出頭を求めるもので、出頭を拒否すること、出頭した後に退去することができる旨が規定されています（刑事訴訟法第198条第1項但書）。
取り調べについての規定
呼び出しを受けたときの取り調べについては、次のような規定が置かれています（刑事訴訟法第198条第2項～第5項）。
- 自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない
- 供述内容を調書として作成することができる
- 調書の内容を閲覧または読み聞かせて誤りがないかを確認し誤りがなければ署名押印する
警察から呼び出しを受けたらどうすべきか
警察から呼び出しを受けた場合、どうすべきでしょうか。
逃亡・無視は絶対にNG
逃亡したり無視することは絶対にNGです。
警察から呼び出しを受けた場合に逃亡したり無視すると、逃亡・証拠隠滅の恐れがあるとして、逮捕状を請求して通常逮捕をする可能性が高くなります。この場合、その後も逃亡・証拠隠滅のおそれがあるとして、釈放・仮釈放などが認められづらくなる、悪質性があるとして起訴されやすくなるなど、手続きを通して悪影響となります。
身に覚えがない場合には堂々と応じるべき
もし身に覚えがない場合には、堂々と応じるようにしましょう。
身に覚えがない場合には、取り調べにきちんと応じて、アリバイがあること、犯行に関与していないことをきちんと伝えると良いでしょう。呼び出しの期日に仕事などの都合で応じられない場合は、「応じられない」と拒否するのではなく、理由を説明したうえで代わりの日時を提案するのが望ましいでしょう。
身に覚えがある場合には弁護士に相談を
身に覚えがある場合には、弁護士に相談をするようにしましょう。
対象となる犯罪の罪の重さにもよりますが、対応を間違えてしまうと逮捕されたり、警察・検察の心象を悪くし、不利な流れになりかねません。取り調べへの対応や被害者との示談を代理してもらうために、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
まとめ
本記事では、警察から呼び出しを受けたらどのように対応すべきかについて解説しました。
警察から被疑者として・参考人として呼び出しを受けることがあり、これには適切に対応する必要があります。弁護士に相談・依頼して不利益が少しでも軽くなるような対応をしましょう。
